Dancer in the Dark
先日、今更ながらの『Dancer in the Dark』を観ました。
調べてみたら、2000年公開の映画で、もう20年くらい経つんですね。
公開当初、カンヌ映画祭パルムドールの受賞を筆頭に、主演女優賞、音楽ではゴールデングローブ賞や、アカデミー賞などにもノミネートされた話題の映画でした。
で、ご存じでしょうが、この映画を簡単にまとめると、目に障害を持つ女性セルマの不遇な運命を描いたミュージカルを織り交ぜた映画です。
まとめると実に単純な映画ですが、しかしです。これが何とも奇妙なのでした。
大抵のミュージカル映画は、その主人公がストーリーの中で実際気分が高揚した時や、ハッピーな時、悲しい時などなどに合わせてミュージカルシーンとなるのですが、この映画の場合、若干異質で、目に障害があるという主人公の設定からか、まず聴覚から入り、その音から発想する主人公の想像部分がミュージカルシーンとなります。
例えば、セルマが働いている工場のプレス機の音からのミュージカルシーンはまだ理解できたのですが、観ていくうちに段々と主人公の独りよがりが目立ちはじめ、ついには殺人、裁判、死刑に至るところまで独りよがりのミュージカルがはじまり、正直、ウンザリして飛ばしました。最後の衝撃シーンはトラウマになりそうです。
かといって、変な映画で片付けるつもりはありません。結局最後は号泣して、飛ばしたミュージカルシーンもちゃんと観てしまったのですから。ただ、素晴らしい映画!最悪の映画!と一言で片づけてしまうことはできない映画でした。感情を見失い、その感情の持って行き場がわからなくなる、しいて言うなら、正に、魂を揺さ振られる映画!でしょうか…?
主人公セルマを演じるビョークの歌は勿論、演技も圧巻です。そして、一際存在感を放つ往年の名女優カトリーヌ・ドヌーブは、この不安定なストーリーの中で断固とした安心感を与えてくれます。
ドグマ95の中心的存在であるトリアー監督の、その理念を取り入れたかの様な撮影手法で撮られたまるでドキュメンタリーの様なリアルな現実シーンと、相反して100台のカメラを設置して撮影したといわれる想像シーンのコントラストも見事です。
良い映画だから観て!と正面きって薦められる映画ではありませんが、人生で一度は観ておいてもいい映画ではないでしょうか?(情緒不安定の方にはお薦めしませんw)
宣伝ではないのですが、来る12月10日(金)より、4Kデジタルリマスター版として劇場で甦るらしいです。たまたま観ただけなのにちょっと吃驚です。
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